士業資格の取得で迷う2つの資格
国家資格を有する職業を一般的に士業と呼んでいますが、この中でも特に法律系を扱う主な登録士業・・・弁護士、弁理士、税理士、司法書士、行政書士、公認会計士、社会保険労務士及び土地家屋調査士が『8士業』などと呼ばれます。
そして、資格取得に比較的取り組みやすいのが、誰でも資格試験に挑戦できる行政書士と、大卒などの制約があるものの比較的受験制約の低い社会保険労務士の二つの資格です。士業資格の取得を目指す人で、まずどちらにしようか迷う人の多くは、行政書士にすべきか、社労士にすべきかで思案するようです。
行政書士と社会保険労務士について比べてみた
比較的資格取得しやすい士業である行政書士と社会保険労務士について、業務内容や年収、資格取得のために必要となる準備期間や費用など、気になるポイントを簡単に表にしてみました。
国家資格 | 行政書士 | 社会保険労務士 |
国家試験日 | 11月の第2日曜日 | 8月の第4日曜日 |
受験制約 | 特になし | 大卒、短大卒、高等専門学校卒など |
業務内容 | ●企業の人事、労務管理や労働、社会保険に関する書類を作成し、諸監督署に提出 ●労務や社会保険などに関するアドバイス ●就業規則や給与規定の作成などのアドバイス |
●官公署に提出する書類の作成(許認可申請書類等や契約書・遺言書等) ●官公庁に提出する書類、権利義務及び事実証明に関する書類などの作成、提出手続の代理や相談 |
活躍の場 | ●企業の法務部や総務部 ●弁護士事務所・税理士事務所・会計事務所など ●独立・開業 |
●企業の総務部や人事部 ●社会保険労務士の事務所 ●中小企業の顧問 ●独立・開業 |
概算収入 | ●正社員:平均年収400万~600万円 ●パート:平均時給3,000円 |
●正社員:平均年収450万~500万円 ●パート:平均時給1,500円 |
試験対策期間 | 最短4ヶ月 | 最短6ヶ月 |
通信講座受講料 | 39,600円~ | 64,900円~ |
通信講座 | 行政書士の資格取得講座 | 社労士の資格取得講座 |
行政書士は働き方や個人の能力の差によって収入にかなりの開きがあるのが現状です。一方で社労士の方は、社労士事務所などに勤めることで一定レベルの安定した収入を得ている人が多いようです。
いずれの資格も将来的には独立・開業を目指して資格取得に取り組み、経験を積んでから独立するのが一般的なパターンと言えます(^^♪
行政書士の魅力
行政書士の仕事は、役所への提出書類を作成して届け出るのが主なもので、その種類は10,000種類以上と言われています。
なんだ、書類を作って提出するだけと思われがちですが、様々なジャンルの書類作成の中から自分の専門分野を見つけ出して、それを生業にするところにある種の魅力があります。
行政書士の関わるジャンルは幅広く、飲食店の開業許可、建築、介護、相続、さらに在留許可や帰化申請など、様々な分野の仕事があり、またそこには行政書士を必要とする人々がいるのです。
法律の知識を活用して、人の役に立つことができる仕事は、人助けや社会貢献にもつながることから、とてもやりがいのある仕事をすることができます。
また、働きながら実績を積んでいくことで、スキルアップやステップアップができるところも魅力で、最終的には独立開業を目指せるのが一番の魅力かもしれません。実際、行政書士は独立開業しやすい職業と言われていて、定年もないため一生手に職が付く資格と言われるのもこのためでしょうね(^^♪
行政書士は、膨大な数、種類の官公署の書類作成を本務とすることから、軽快なフットワークと専門分野を広げていく開拓心と勉強熱心な姿勢が重要です。事務処理能力が高く、責任感を持って業務をこなしていける人が向いています。
社会保険労務士の魅力
社会保険労務士は、労働者のために働くのが主な仕事ですが、働いている人が適切に社会保険、労働保険、年金に加入し、保険や年金などの給付を受けることができるようサポートします。また、働く人々の職場・・・会社や企業などを健全に発展させるためのサポートも行います。
労働条件、就業規則、雇用契約など労働者と経営者の間に入り、様々な相談に乗ったり、コンサル業務なども行うこともあります。
社労士を必要とするところは多く、会社や企業の総務部や人事部、社会保険労務士事務所などが一般的ですが、実力を付ければ企業の顧問として就任したり、独立開業を目指すことも可能です。
社会保険労務士の魅力は、安定した業務と収入、さらに独立開業を視野に入れた働き方ができるところでしょう。
社労士は、相手の話をしっかり聞いて、相談に応じることが重要です。したがって、高いコミュニケーション能力を持ち、強い正義感、正確な数字の扱い、コツコツとした作業が苦にならないという人が向いています。
行政書士と社労士のどちらを目指すべきか
行政書士と社労士は、同じ法律系の士業ですが、誰のために働くのかという点で微妙な違いがあります。行政書士は法律の知識を必要として書類作成を代行して人々の役に立てるところにポイントがあります。社労士は労働者のために法律の知識を活用して、労働者や経営者のために働くというところにポイントがあります。
いずれの資格も国家資格で、一度取得すれば一生手に職が付くことになる資格です。どちらの資格も難易度は高く、合格率は10%以下ですが、通信講座を受講してきっちり合格力を付ければ狙えない資格ではありません。
行政書士の方が受験制約もないため窓口が広くなっていて、実力次第で稼ぐことができます。
一方で、安定した働き方、収入に重点を置くなら社労士の資格が良いでしょう。
どちらの資格を取るにしても、自分の目指すところ、重要視するポイントと見比べて資格取得に挑戦しましょう。
行政書士と社労士の資格は関連性が高いところもあるため、余力のある人はダブル資格取得を目指すのも良いと思います。